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糖尿病とは
糖尿病とは血糖値が慢性的に高い状態が続く代謝の病気です。具体的には以下のように定義されています。
- 空腹時血糖値が126mg/dL以上
- 75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)での2時間値が200mg/dL以上
- 随時血糖値が200mg/dL以上
- HbA1c(ヘモグロビンA1c)が6.5%以上
上記の項目のうちいずれかを認める場合、糖尿病が疑われます。
血糖値とHbA1cの両方が高い場合、あるいは上記の高血糖に加えて糖尿病の典型的症状(口渇、多飲、多尿、体重減少など)もしくは確実な糖尿病網膜症のいずれかを認める場合には初回検査でも糖尿病と診断されます。
糖尿病の種類
糖尿病には大きく1型糖尿病と2型糖尿病、そして妊娠糖尿病があります。
糖尿病の患者様の90%以上が2型糖尿病で5%以下が1型糖尿病とされています。両者の共通点は慢性的な高血糖状態により全身の血管がダメージを受け、様々な合併症を引き起こすことです。大事に至るのを防ぐためには定期的な血糖管理、合併症のスクリーニング、生活習慣の改善が重要です。
また妊娠糖尿病の危険因子には、肥満、高齢妊娠、糖尿病の家族歴、過去の妊娠糖尿病の既往などがあります。妊娠糖尿病の女性から生まれた子は、巨大児となるリスクが高く、新生児低血糖や呼吸障害などの合併症を起こす可能性があります。
1型糖尿病
1型糖尿病はインスリンの分泌を司る膵臓のβ細胞が異常な自己免疫の働きによって破壊され、インスリンが欠乏することで発症します。主に小児期から若年期にかけて発症することが多く、口渇、多飲、多尿、体重減少などの症状が急激に出現するのが特徴です。
治療としてはインスリン注射が必須であり、血糖値に応じてインスリンの種類と量を調整します。食事療法では炭水化物の計算が重要で、低血糖にも注意が必要です。運動療法は低血糖に注意しながら適度に行います。
1型糖尿病患者は細小血管障害(網膜症、腎症、神経障害)や大血管障害(心筋梗塞、脳卒中、下肢動脈閉塞症)のリスクが高くなります。
2型糖尿病
2型糖尿病はインスリン抵抗性(インスリンの効きが悪くなる)とインスリン分泌低下により発症します。肥満や食生活の乱れ、運動不足などの不適切な生活習慣が続いた結果、中高年になって発症することが多く、症状の進行は1型糖尿病に比べ比較的ゆるやかで無症状のこともあります。強い喉の渇きや多飲・多尿、倦怠感などの症状が見られます。また、2型糖尿病の発症には遺伝的要因も強く関与していることが知られています。
治療としては適切なカロリー摂取とバランスの良い食事が重要な食事療法、インスリン感受性を改善する定期的な運動療法、そして病態に応じて使い分ける薬物療法(メトホルミン、SU薬、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬、インスリンなど)があります。
2型糖尿病患者も1型糖尿病と同様に細小血管障害や大血管障害のリスクが高くなるとともに、高血圧・脂質異常症・高尿酸血症など他の生活習慣病の合併が多く、専門医による総合的な治療が必要になります。
妊娠糖尿病
妊娠糖尿病とは妊娠中に初めて指摘された糖代謝異常で、糖尿病の診断基準を満たさない人を指します。 妊娠中は胎盤からインスリンに拮抗するホルモンが分泌されるため、インスリン抵抗性が高まり糖尿病を発症しやすくなります。
多くの場合、出産後には正常に戻りますが、巨大児や新生児低血糖などの胎児へのリスクのみならず、将来的に2型糖尿病を発症するリスクが高くことからも、妊娠中に適切な治療や糖尿病教育が必要となります。
糖尿病の合併症が起きるメカニズム
人体にとって本来糖はなくてはならないものです。中でもブドウ糖は体内のほとんどすべての細胞にとって主要なエネルギー源となります。脳細胞は特にブドウ糖に依存しており、正常な脳機能を維持するために安定した血糖値が必要です。
糖の役割
糖は炭水化物から摂取され消化管で単糖類(主にブドウ糖)に分解された後、小腸から吸収されて血流に入ります。血中のブドウ糖はインスリンの作用によって体内の細胞に取り込まれ、エネルギーを作るために利用されます。余ったブドウ糖は肝臓でグリコーゲンという形で貯蔵されます。このグリコーゲンは血糖値が低下した際に分解されて、ブドウ糖として血中に放出されます。
また糖は体内の様々な生理機能にも関わっています。細胞同士を接着したり、細胞を作り出したり、人間が生きていくのに不可欠な核酸(DNAやRNA)を作っているのも糖です。
慢性的な高血糖状態が続くと…
こんなにも大切なものなのであれば高血糖状態になっても問題ないのではないかと考える人もいるかもしれません。しかし慢性的な高血糖状態が続くと、私たちの体は糖を効率的に利用できなくなります。すると体内で余った糖が原因で血管や細胞にストレスがかかったり、炎症が起きたりしてしまいます。
こうしたダメージが蓄積すると結果として血管や臓器に障害が起き、様々な重篤な合併症を発症してしまうのです。
当院の治療
奈良市・奈良駅のならまち内科 あいりレディースクリニックでは、国内外で糖尿病の治療・研究に携わってきた副院長が一般内科を含めた糖尿病内科を担当しています。
専門的な知見に基づいた検査や診断、患者様の日々の生活に寄り添った治療を大切に、お一人おひとりの患者様に向き合っていきますのでお悩みの際はぜひ当院までご連絡ください。