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院長・副院長インタビュー
「地域に根ざした医療」を志して
開業を決めた背景
それぞれの経歴について教えてください
■松尾愛理院長(以下、院長)
私は大阪大学医学部を卒業後、産婦人科医を志し、大阪赤十字病院で2年間初期研修を受けた後、同じ病院で産婦人科の後期研修を修了し、産婦人科専門医を取得しました。
2024年9月の開業までの期間は、京都・奈良・大阪の産婦人科や不妊治療専門のクリニックで臨床経験を積みながら、4人の子どもの母として育児にも全力で取り組んできました。
私は妻(院長)と同じタイミングで大阪赤十字病院で初期研修を始め、そのまま同じ病院で糖尿病・内分泌内科の医師として勤務を続けました。そこでの診療経験がきっかけとなり、2014年からは研究者としての道に進みました。
母校の京都大学の大学院で医学博士号を取得したのち、2018年からはカリフォルニア大学サンフランシスコ校で博士研究員として糖尿病をはじめとする内分泌系疾患の研究に打ち込みました。帰国後から開業までの期間は、製薬企業の臨床開発医師として新薬開発に携わってきました。
夫婦で開業しようと思われたきっかけは?
■院長
子育てをしながら働く中で、三菱京都病院、天理よろづ相談所病院、生駒市立病院、春木レディースクリニックなど、地域の基幹病院や専門性の高い医療機関で多くの経験を積むことができました。
女性医師ということで、女医希望の患者様や若い世代の患者様と接することが多かったのですが、「もっと早く受診すれば良かった」という声を頂くことが多く、私自身も「もっと早く来てくれたら」と感じることが何度もありました。
特に月経痛や更年期の症状は、我慢するべきものだ、と考えている方が多いように思います。どちらも薬でコントロールできることをもっと広く伝える場があればと考えていました。また私自身も4度の妊娠・出産を経験し、仕事を続ける中で、女性ホルモンの変動による体調不良に悩まされることもありました。
毎月の月経周期による変化、そして世代による変化、女性にこそ思春期から生涯に渡りサポートしてくれるかかりつけ医が必要だと、自分の経験からも強く感じるようになりました。
そこで私は地域に根差し、患者様の人生に寄り添って健康をサポートすることで、子育てや仕事、ひいては人生と全力で向き合えるようお手伝いしたいと思うようになったのです。そして夫に開業への思いを打ち明け一緒にクリニックを始めることにしたのです。
副院長は奥様の思いに対してどんな印象を?
■副院長
夫として彼女の思いを全力で支えようと思いました。彼女は損得勘定抜きでお一人おひとりの患者様に真摯に向き合える医師で、そんな彼女のクリニックなら多くの患者様を幸せにできると考えたからです。
また私自身の糖尿病、高血圧、バセドウ病、橋本病といった内分泌系疾患の知見も役立てられると考えました。女性特有の悩みの背後には、内分泌、つまりホルモンの問題が隠れていることが少なくありません。研究者としての知見を交えた治療やアドバイスを提供することで、患者様のお役に立てるはずです。
“婦人科×内科”の連携で
患者様の健康をトータルにサポート
力を入れている治療はありますか?
当院の婦人科は「すべての女性のかかりつけ医」をコンセプトに、一般的な婦人科診療を大切にしつつ、年代ごとに異なる女性のお悩みに寄り添えるよう、幅広い診療体制を整えています。
思春期の方には月経痛やPMS(月経前症候群)による症状をお薬でコントロールできることを知ってもらい、婦人科に定期的に通うことで、子宮・卵巣疾患や子宮がんの早期発見・早期治療につなげます。これは本人の命や健康を守るだけではなく、将来の不妊症のリスクを下げることにもなります。
妊娠希望の方や働く世代の方には、不妊治療や月経に関するお悩みの治療、更年期の方には患者様ごとの多様な症状に合わせた治療法によるサポートを提供します。閉経期の方も、子宮脱をはじめとした骨盤臓器脱、尿やおりもののお悩みなど婦人科疾患は無縁ではありません。
このように年代ごとのお悩みにアプローチすることは、患者様お一人おひとりの将来の健康を守ることにもつながるのです。
副院長が力を入れている治療は?
■副院長
専門である糖尿病や甲状腺・内分泌の治療はもちろんのこと、婦人科疾患に隠れていて見過ごされがちな内分泌の問題にしっかりと力を入れています。
例えば橋本病という甲状腺疾患は、成人女性の10人に1人がかかると言われている病気ですが、不妊症の大きなリスクとなりえます。橋本病による甲状腺機能低下症が続くと、月経異常や不育症のリスクも高まります。
しかし、橋本病は検査をしないと見つけられません。そこで当院では、婦人科にいらっしゃった患者様が甲状腺診療を受けられる体制を整えています。このように、ならまち内科 あいりレディースクリニックでは多角的な医療を提供しています。
「気軽に足を運べるクリニック」
「たくさん話したくなるクリニック」
夫婦が目指す、理想のクリニック
クリニックの今後の展望は?
■院長
当院は若い方からご高齢の方まですべての年代の女性にとって訪れやすい婦人科クリニックを目指しています。「勇気が出なくて、なかなか来られなかった」という患者様ほど、「早く来れば良かった」と仰ってくださるからです。
これといった症状がなくても定期的に検査を受け、患者様から気軽にお話しいただけるクリニックが理想です。不妊治療についても、まずは気軽に相談できる場所であることが大切だと考えています。
高度な治療ができなくても専門的な知識を持ち、治療の選択肢を提示できる当院のような婦人科に、まずは足を運んでいただきたいと思います。
「気軽な受診」のために工夫していることは?
■院長
診療を終える時、「何か質問はないですか?」とお聞きしています。単純で些細なことですが、「私はいつでもお話を聞きますよ」という気持ちを伝えたくて毎回必ず言うようにしています。
■副院長
あとはクリニックのインテリアにも工夫をしています。例えば壁紙には、診療所によくある内装ではなく、落ち着いたトーンの木目調を選び、安心できる空間を意識しました。またユースクリニックや不妊の相談など、他人の目線が気になるという方のために、プライバシーに配慮した空間作りを行い、お子様がいても安心して受診できるように、婦人科にはキッズスペースを設置しています。
副院長が考える理想のクリニックとは?
■副院長
院長の話と重複しますが、「たくさん話したくなるクリニック」にしたいと考えています。
例えば糖尿病などの生活習慣病の治療では、医師がただ投薬するだけでは十分な病状の改善は望めず、患者様自身が生活習慣の改善に取り組むことが非常に重要です。ですから、医療従事者として患者様が治療に向き合えるようなアドバイスをすることが求められると考えています。
的確なアドバイスをするには、患者様の生活、仕事、趣味、苦手なことなどを知る必要があります。そのための一番の患者様にご自身のことをたくさん話していただくことです。
だからこそ我々は「たくさん話したくなるクリニック」を目指しているのです。
そのために意識していることは?
■副院長
色々ありますが、1つ挙げるとしたら「患者様と対等な関係を築くこと」です。
生活習慣病の治療では投薬を続けても患者様自身が適切な食生活や生活習慣を継続できず、思うような結果が出ないことがあります。しかしそこで医師が一方的に治療を押し付けたり、生活習慣について叱責してしまうと、患者様は話したくなくなってしまいます。
そうなるとなぜその生活習慣を続けられなかったのかがわからなくなり、次からは正直に話していただけなくなるかもしれませんし、最悪の場合には通院を止めてしまう可能性もあります。
私たち医療者の役割は患者様の健康をサポートすることであり、医療者と患者様が同じ方向を向き、共通のゴールを目指して治療を継続する必要があります。だからこそ私は「患者様と対等な関係を築くこと」を大切にしているのです。
皆様の健康をサポート
お気軽にご来院ください
最後に、患者様へメッセージをお願いします
■院長
繰り返しになりますが内科にしろ、婦人科にしろ、何かこれといった症状がなくてもご自身の健康チェックをするつもりでお気軽に足を運んでいただければと思います。皆様の来院を心よりお待ちしております。