- HOME>
- 性感染症
性感染症とは
性感染症(STI: Sexually Transmitted Infections)は、性的接触を通じて感染する病気の総称です。主に性交渉やオーラルセックスなどの性的接触により、感染者から非感染者へと病原体が伝播します。これらの病原体には細菌、ウイルス、寄生虫などが含まれます。
性感染症はリプロダクティブ・ヘルスの観点から重要な課題の1つです。リプロダクティブ・ヘルスとは「性と生殖に関する健康」と翻訳される概念で、性や子供を産むことに関わる本人の精神的・社会的な意思決定が尊重されることです。
当院ではパートナーと一緒に受診して、検査・治療を受けて頂くことが可能です。性感染症ではカップルでの治療を行うこと、そして今後の感染予防のために正しい知識を持つことがとても大切です。性感染症が疑われる場合は、ぜひご一緒に受診してください。
深刻な合併症を引き起こす可能性があります
感染する性感染症の種類によっては、不妊症や子宮外妊娠、子宮頸がんなどの深刻な合併症を引き起こす可能性があります。また、HIV感染症のように生涯にわたって健康に影響を及ぼす病気もあります。リプロダクティブ・ヘルスを守っていくためには、こうした性感染症の予防、早期発見・早期治療が非常に重要です。
性感染症の種類
クラミジア
クラミジア・トラコマティスという細菌による感染症です。症状は男性では尿道炎、女性では子宮頸管炎が主で、異常な分泌物や排尿時の痛みなどがみられます。感染に気づきにくく不妊の原因となることもあります。
淋病
淋菌という細菌による感染症です。男性では尿道炎、女性では子宮頸管炎が主な症状で、黄色い膿のような分泌物や排尿時の痛みがみられます。合併症として骨盤内炎症性疾患 (PID)や不妊症を引き起こすことがあります。
梅毒
トレポネーマ・パリダムという細菌による感染症です。初期には性器に硬性下疳(しょうかん)と呼ばれる無痛性の潰瘍ができ、その後全身に広がります。適切な治療を行わないと重篤な合併症を引き起こします。
性器ヘルペス
単純ヘルペスウイルス(HSV)による感染症です。性器に水疱や潰瘍ができ、痛みやかゆみを伴います。再発を繰り返すことが特徴で完治は困難です。新生児へ感染すると重篤な症状を引き起こすことがあります。
尖圭コンジローマ(HPV感染症)
ヒトパピローマウイルス(HPV)による感染症です。性器や肛門周囲に、イボ状の腫瘤ができます。一部の高リスク型HPVは、子宮頸がんの原因となります。
HIV感染症
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による感染症です。HIVは免疫細胞を攻撃し免疫機能を低下させます。感染初期は症状に乏しいですが、徐々に免疫不全状態が進行しエイズを発症します。
トリコモナス症
トリコモナス・バギナリスという原虫による感染症です。女性では外陰部のかゆみや灼熱感、黄緑色の泡状の分泌物が特徴的です。男性では無症状のことが多いですが、尿道炎を引き起こすこともあります。
性感染症の主な症状
上記の性感染症は無症状の場合もありますが、以下のような症状が現れる可能性もあります。
- 性器の痛み、かゆみ、腫れ
- 性器からの異常な分泌物
- 排尿時の痛みや燃えるような感覚
- 性器や肛門周辺の皮疹や潰瘍
- 下腹部の痛み など
性感染症の治療
性感染症の治療は原因となる病原体に応じて行われます。
- 細菌性の感染症(クラミジア、淋病、梅毒など):抗菌薬の投与により治療する
- ウイルス性の感染症(性器ヘルペス、HIV感染症など):抗ウイルス薬により症状を抑えることが可能。ただし、完治は困難
- 寄生虫による感染症(トリコモナス症など):抗寄生虫薬により治療する
いずれの性感染症も早期発見・早期治療が重要です。そのため性感染症が疑われる場合は、できるだけ早く婦人科を受診するようにしましょう。また感染拡大を防ぐための性交渉時のコンドームの使用や、感染が判明した場合のパートナーへの通知も大切です。